山羊座10度

ノンフィクション中心の読書好き

保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」

成果を出したい思いが強く、真面目で努力家でいわゆる仕事ができる人。そんな人こそ苦手なのが子育てだと思う。いかんせん思い通りにならない。むしろ「成果を出したい(思い通りにしたい)」と思うと見事に悪循環してくれるのが子どもだと思う。

 

悪循環の1つに必ずと言っていいほど組み込まれるのは、「叱る」という行動。これは真面目なお母さん達もよくわかっていて、怖い顔で叱った後に自己嫌悪するお母さんもたくさんいることでしょう。そういう時は、こうしたらいいよーと言ってくれるのが本書。

 

要は育児書なんだけど、別に小手先のテクニックで子どもを転がそうとしないところが、すごく好感が持てる。往々ににして、すぐ使えるものはすぐ使えなくなったりするものだ。本書は子どもの困った姿という形で現れる問題は表面上の問題で、根幹にはこんなことがあるんだよーと教えてくれる。むしろ問題のもとは親の生育歴だったりもする。ちゃんと親にも子どもに向き合っている感がある。

 

表面だけで転がそうとしない分、読み手にちゃんとその背景や子どもに慢性的に不足しているもの等を考える視点をくれるというのが、本書のいいところだと思う。そして、親が悪い!と批判するでもなく、ちゃんと冷静に可能そうな範囲でアドバイスをくれるのが良い。世の中には、「親たるもの!こうでなくちゃ!」という育児書があったかと思えば、「親は適当で良いのよー」という本もあり、自分のとりたいスタンスの本を選びがちだと思うけど、この本はどちらに対しても行き過ぎにならないように、時と場合によっては叱る叱らないを使い分けて(叱り方も書いてある)子育てするよう述べていて、バランスのいい本だと思う。

子どもができた際はこんな風に子育てしたいな。

保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」 (PHP文庫)

保育士おとーちゃんの「叱らなくていい子育て」 (PHP文庫)